空室という存在

不動産賃貸市場において、空室という存在についてふと考えてみた。

賃貸住宅の空室率は全国で約20%程度と言われており、人口減少と物件供給過剰のダブルパンチで、この数字は年々増えていくものと考えられている。

スタッフ内でのたわいもない会話の中で、「空室とは活用できる資産がありながら、有効に利用していない遊休資産であり、社会にとっては悪である」という少々強引な仮説が持ち上がったことがある。

突き詰めると「(なにかに投資せずに)現金で資産を保有しているのも悪」となってしまうので、もちろんそんなことはないが、空室の存在について考えてみるきっかけにはなるというわけで。

 

そもそも空室というのは、賃貸市場で選択されないから空室である。

賃貸市場において、利便性、面積、スペック、環境など様々な要素と、最終的に「賃料」という値札で相対的に比較され、多数の競合物件の中から選ばれる物件が借りられていく。

逆に、相対的にイケてない物件は選択されず、空室のままである。

ちなみに、オーナーが貸す気がなかったり、前入居者が退去したばかり(健全な入れ替わりの期間)というケースは除くとして。

 

空室を埋める方法

で、そんな選ばれない(イケてない)空室が選ばれるための手段は大きくこの2パターン。

(この場合も、外部要因で類似物件がすべて借りられてしまい、イケてない物件しか残っていない、という他力本願なケースは除く)

 

1つは、賃料を下げる。

もう1つは、改装などのバリューアップを施し、新たに賃料を正しく設定する。

仮に賃料10万円の物件があったとして、どうやら相対的にイケてないらしく、ずっと空室のままだとする。

それを、賃料5万円にすれば、まず借り手は現れる。

あくまで最終的には賃料という値札で相対的に判断されるため、賃料が半額になるということは、価値が倍になるということで、いきなりイケてる物件になるのだ。

 

もう1つの、改装によりバリューアップというのは商品の改善である。このケースも価値が上がり、イケてる物件になりえる。

(バリューアップについては以前下記に書いています。)

戦略的リノベーション論~入門編~

戦略的リノベーション論~数字大好き編~

 

 

空室は悪か?

前提の話はこのくらいにして、本題に入る。

焦点は、空室のままである物件は、上記2パターンの手段を取ることにより、借りられるように努力すべきなのか、否か。という疑問である。

社会&経済状況の変化により増え続ける空室を、空室のままにしておくよりも、賃料を下げてでも、あらゆるスペースを使っている状況の方が、誰にとってもハッピーなのではないか?

仮に全国の空室率が30%になったとする。(20年後にこの数字が現実になるという予測もある)

賃貸物件が30%も余っているなら、賃貸暮らしの人全員が30%ずつ広い家に住めるのではないか、と極端だけど考えられないだろうかということ。

もし国民が不動産に使える予算が変わらないと仮定すると、全体の坪単価相場が30%下がることになってしまうし、空室率がゼロというのはすなわち物件が全くもって足りないということになるので、実現するのは困難だが。。

しかし実際のところ、日本の賃貸住宅の平均面積は欧米諸国に比べて圧倒的に小さい。どこのデータだったか忘れたが、アメリカが約110㎡、日本は約40㎡というデータを見たことがある。30%増えたところで日本人がまだまだ狭い家に住んでいることに変わりない。

また、不動産に限らず売れ残り商品は廃棄されたり、安く処分されるのが常であるが、不動産は商品寿命が最も長いのがまたやっかいだ。

対局にある最も商品寿命の短い食品で言えば、コンビニ弁当の廃棄処分などが道徳問題になったりしているが、不動産の場合にはなぜかさほど問題にならない。

商品寿命が長い故に、10年間空室のまま放置してました、なんて事例はよくあるのだが、これって悪なのだろうか。

 

結論、悪である。

この疑問への結論としては、個人的には「悪である」と言ってしまうことにする。

でもって、この現状を打破するには、空室税なんてのを導入しちゃえばいいじゃないか、と思ってしまう。

例えば2年間以上空室の賃貸物件には課税するとか。

ちなみに香港では空室税を検討しているらしい。バブル対策なんで目的が違うけど。

あと、これだと不動産オーナーにとってネガティブでしかないので、不動産所得税を多少下げたりというバランスは必要かと。

余っている、眠っているスペースをもっと活用できれば、社会にとっては良い影響がたくさんあるはず。

空室は意志を持って埋めましょう!

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