シリコンバレーで過ごす冬、もう快適すぎて最高。

来て間もない11月は、朝と夜がびっくりするくらい寒かったので、Tシャツに短パンで歩いているアメリカ人を理解できなかったけど、この半月くらいは寒い日が全然なく、昼間は本当に快適。毎日無条件に快晴だし、自分もどんどん薄着になっていってる気がする。(それでもTシャツ短パンはないでしょ、アメリカ人!)

そんなこんなで気がついたら、3ヶ月のシリコンバレー滞在も半分が過ぎてしまった。こっちではシリコンバレーのエコシステムやらインキュベーションやらを研究したり、新しいサービスの企画をしたりして過ごしているが、その辺りを書くのがすっかり遅くなってしまった。

ちょうど一昨日の夜、運営メンバーをさせてもらっている福岡IT飲み会で、エコシステムの話などについてプレゼンテーションしたので(アメリカからスカイプで参加した。深夜3時に!!)、その内容を掻い摘んでブログに残すことにした。

Q&A方式で行ったので、そのまんま記載しますが、あくまで個人的な見解ということで。加えて、自分の理解のためにあえてパターン化してるので、これ以外にも多様なケースや回答がもちろんある。

Q. シリコンバレーのエコシステムとは何か?

よく言われるのは、起業家を輩出する優秀な大学、大企業があり、起業家をサポートするエンジェルや投資家、インキュベーターがおり、成長したスタートアップは大企業に買収されたりIPOする。そしてその成功した起業家がまた別の事業をチャレンジしたり、今度はエンジェルになって次の起業家を支援する、という好循環がエコシステムだ、と。

図にするとこんな感じ。(若干美的センスに欠けるが、Googleドキュメントでどこまで作れるか試しに遊んでみたかったので許して。)

言葉で聞くとその理屈自体は理解できるのだが、どこかで「いやいや、そんなの他の都市だってできるわけで、シリコンバレーが特別であることの説明にならない」という疑問があり、どうも納得ができなかった。しかし、シリコンバレーに住み、いくつものスタートアップや投資家、インキュベターの話を聞くにつれ、ばっちりその違いを認識できた。それは・・・

無理矢理にでもスタートアップを押し上げて成功させる力

起業家が優秀であるのはもちろんだが、実はその回りの大人たちの力がハンパじゃない。正直、これこそがシリコンバレーがシリコンバレーである一番の要素なんじゃないかと思う。芽のある企業、アイデアがあれば、自分もスタートアップで成功したことがある経験&知見豊富なエンジェルや、その友人のプロの経営者(ある所まで行くと、プロの経営者をCEOとして迎え入れるのが一般的。起業家はエンジニアであることが多いので)やファイナンスの専門家や弁護士やその他大勢のプロフェッショナルな大人たちが、無理矢理にでもその企業を成長させるのだ。

重要なのは、「偶然ヒットしたサービスがいつの間にか大きくなって、どんどん社員が増えて、上場しちゃった」のではなく、「どうやら人気の出そうなサービスに、大人たちが寄ってたかって無理矢理資金と人を入れまくり、明らかにやり過ぎなスピードで成長させ、1~2年でエグジット、または5年で巨大IPOに持って行く」ということ。前者と後者の違いはもちろんスピード。普通7年かかるのを1~2年でやる。意識的に、かつ、やり過ぎなレベルで、世界を獲りに行く。そして本当に世界を獲ってしまう。これが、GoogleもfacebookもAppleもその他大抵のBig Companyが他の都市ではなく、シリコンバレーから出てくる、いや、シリコンバレーが作り出している理由だと思う。

Q. インキュベーターってなに?

インキュベーターの役割は、彼らが支援するスタートアップのビジネスを加速(アクセラレーション)させることである。2005年に活動を開始したマウンテンビューのY Combinatorが草分け的存在であり、現在も圧倒的No.1インキュベーターとして認知されている。Y Combinatorのビジネスは、彼らの用意する年2回の3ヶ月間のプログラムにスタートアップを毎回数十社集め、平均150万円ずつを投資し、毎週IT業界の有名人らを呼んでディナーを行ったり、プロトタイプを発表し合ったりして各社のサービスを改良し、最後のDemo Dayというイベントで多くの投資家を前にプレゼンし、さらなる投資を受け、それらの企業が成長して売却やIPOすることで利益を得るモデルである。最近では、インキュベーターの数も増えており、投資やプログラムに加え、オフィススペースまで提供するところが主流になっている。

Q. インキュベーションオフィスとコワーキングスペースの違いは?

簡単に言うと、投資をするのがインキュベーションオフィス、投資をしない単純なオフィスの提供がコワーキングスペースである。この違いを認識するときに、「投資」「プログラム」「スペース」という3つの要素が混じり合っているため、わかりにくくなっている。そこで、図にしてみた。

まず、コワーキングスペースはあくまでスペースだけを提供する。イベントがあったりコミュニティがあったり、とコワーキングスペースの提供するメリットはスペース以外にもあるのだが、インキュベーションとの違いを把握する上で、上記3要素で考えると、スペースだけの提供となる。

対して、インキュベーターが提供するのは、「投資」+「プログラム」であることが多い。これに、「スペース」まで提供するのが現在は主流で、「スペース」を提供しないY Combinatorは独自路線である。(Y Comがオフィスを提供しない理由はこちら。)

インキュベーターは彼らが投資するスタートアップが他の投資家に評価され、シードラウンド→シリーズA・・・と順調に投資ラウンドを進めて行き、ゆくゆくIPOや大企業による買収で利益を上げる。そのためスタートアップに資金だけでなく、メンターやアドバイザーを紹介したり、投資家の前でDemoを行うイベントを開いたり、細かいところでは、デザインやコーディングのクラスを行ったりもする。

Q. 注目されているインキュベーターは?

2010年までにインキュベーターの元で設立されたスタートアップの数map。Y Combinatorがぶっちぎりだが、全米に4拠点を構えるtechstarsや、最近注目されているマウンテンビューの500startupsなども数が増えてきている。ちなみに500startupsのプログラムには日本人チームが2社(今度3社になるのかな?)すでに入っており、活躍が期待されている。

500startupsのオフィス。唯一の高層建築なので、緑の雲の上にいるみたい。

こういったインキュベーションプログラムやオフィスに、スタートアップとして参加することのメリットはいくつかある。

  •  超優秀で意識も高い起業家たちと刺激し合いながら成長できる環境
  • そのインキュベーターから投資を受けたことによる注目度
  • そこに入っているからこそコンタクトできる著名な数々のメンター
  • 自分たちより前のプログラムに参加した会社の動向

Q. 注目のコワーキングスペースは?

2011年はサンフランシスコにコワーキングスペースが急激にオープンした年であり、各スペースとも様々な工夫を行っている。

個人的に特に注目しているのは(日本でもすでに有名かもしれないが)Rocket Spaceだ。運営者の方にインタビューさせてもらったが、「シードファンディングを受けている企業しか受け入れない」という強気なコンセプトを持っている。例外はあるのだが、このコンセプトにより、シード市場で評価されたお墨付きのスタートアップが集まり、優秀な人がさらに優秀な人を呼ぶという循環を作り出そうとしている。「自分たちはスペースの提供者ではなく、アクセラレーターなのだ」と言っていた。

オープンで間仕切りがほとんどないRocket Space。

やはりキーワードは「成長」であり、これこそがシリコンバレー(SF含む)の共通のコンセプトなのだろう。

 

その他あった質問と、ぼくの答え。(覚えてる限り)

 Q. 最近はシリコンバレーじゃなくてもいいと言われてない?

おっしゃる通り。先日有名な投資家ロン・コンウェイ氏もイベントでそう話してた。上記のスタートアップMapでも全米にインキュベーターが出てきているように、今後はより一層各都市から多様なスタートアップが出てくると思う。

Q. シリコンバレーではエンジニアの採用はどうやってるの?

どこもまずインターンをして、採用という流れが多い模様。大企業は大学でハンティングしたりしてるけど、スタートアップはやはり口コミというか知り合いベースが多い。

Q. シリコンバレーに行って一番変わった考え方は?

インキュベーション事業そのものに興味があったけど、成長する会社やチャレンジしているスタートアップの人たちを目の当たりにし、自分がプレーヤーとしてスタートアップをやった方が断然面白いし、そうしたいと思うようになった。

Q. 日本は起業マインドが弱かったり、文化が違うと思うが、その辺はどう?

基本、やりたい人がやればいい。成功と失敗事例の蓄積が増えてくれば、マインドも変わってくるのでは?

 

シリコンバレーがすべてじゃないし、スタートアップがすべてじゃないけど、このエコシステムを理解した上で、自分がやりたいことをやるのが良さそうだ。

 

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